最終更新: 2026-10-02|数値は公式公開データの当サイト集計
出走表の枠番と実際にスタートするコースは別物で、コースはピットアウト後の待機行動(進入)で決まる。艇番どおりに収まるのが「枠なり」、内のコースを取りに行くのが「前づけ」、それを信条とする選手が「イン屋」だ。前づけで隊形が崩れると予想への影響も大きく、本稿で基本を整理する。
- 枠番とコースは別物。スタートコースはピットアウト後の待機行動で決まる
- 現代は「枠なり進入」(艇番どおり)が大半(2025年以降の本番で81.2%)だが、前づけで隊形が崩れるレースもある
- 内のコースを取りに行くのが前づけ、それを信条とする選手がイン屋
- 前づけで進入が深くなると助走距離が短くなり、インでもスタートが難しくなる
- 前づけがあったレースの1コースの1着率は43.6%(枠なりのレースは56.6%)
枠番とコースは違う
ボートレースでは、ピットアウト後に2マーク側へ回り込み、待機行動の中でスタートコースを取り合います。つまり1号艇が必ず1コースから出るとは限らず、6号艇が1コースに入ることも制度上は可能です。
コース別1着率が「枠番別」ではなく「コース別」で集計されるのはこのためです。データを正しく使うには、その選手が実際にどのコースから出るかを押さえる必要があります。
現代は「枠なり進入」が主流
艇番どおりに1〜6コースへ並ぶことを枠なり進入と呼びます。待機行動のルール整備や、深い進入の不利が広く知られたことで、現代のレースは枠なりが大半です。
当サイトが本番の進入(スタート展示ではなく公式レース結果の進入)を数えると、枠なりは2016年の72.3%から毎年少しずつ増え、2025年1月〜2026年9月では81.2%(9万6,277レース)。およそ5レースに4回は艇番どおりです。
だからこそ「1号艇のコース別1着率=1コースの数字」という前提が成立しやすく、出走表のデータがそのまま使えるのが基本形。その前提が崩れるのが、次に説明する前づけです。
前づけとイン屋
前づけとは
外枠の艇が内側のコースを取りに行く動きのこと。成功すると進入隊形が変わり、「枠なり前提」のコース別データが使えなくなります。前づけが起きそうなレースは、スタート展示の隊形確認が必須です。下の図の上段が枠なり、下段が前づけの例です(スロー・ダッシュなど水面の用語は用語集の水面の図も参考に)。
例の隊形(1・6・2/3・4・5)は、2025年1月1日〜2026年9月30日の本番で985レース。前づけ(4〜6号艇が1〜3コースに入った)があった6,469レースの中で最も多い隊形です(当サイト集計)。
イン屋とは
前づけを信条とする選手の通称。該当する選手は限られており、進入実績を見れば傾向が分かります。イン屋が外枠に入ったレースは隊形が崩れる前提で組み立てるのが定石です。
前づけの代償=深イン
内に入っても、進入が深くなる(スタートラインまでの助走距離が短くなる)のが前づけの代償。競艇はフライングスタート方式なので、助走が短いとトップスピードでスリットに入れません。せっかくの1コースでもSTが遅れてしまい、「イン=有利」が成立しないことがあります。当サイトの集計でも、前づけがあったレースは1コースの1着率が43.6%で、枠なりのレースの56.6%を大きく下回ります(下のグラフ)。
数値を表で見る
| 隊形 | 1着率 | 平均ST | レース数 |
|---|---|---|---|
| 枠なり | 56.6% | 0.151秒 | 78,157 |
| 前づけあり | 43.6% | 0.161秒 | 6,469 |
集計期間 2025年1月1日〜2026年9月30日(当サイト集計・公式レース結果の進入)。1着率・平均STは1コースの艇。枠なり=6艇とも艇番どおりのコース。前づけあり=4〜6号艇のどれかが1〜3コースに入ったレース。級別など他の条件はそろえていない単純な比較。平均STはフライング・出遅れを除く
進入が乱れやすい会場
本番の進入で数えると(2025年1月〜2026年9月)、枠なりが崩れやすいのは桐生(枠なり74.0%)・浜名湖(74.1%)・常滑(74.5%)・唐津(74.5%)・蒲郡(74.6%)で、4レースに1回は隊形が動きます。こうした会場では、スタート展示で隊形を確認してから買うひと手間の価値が大きくなります。
逆に江戸川は99.9%、びわこは91.2%とほぼ枠なりで、進入の駆け引きはほとんど起きません。
数値を表で見る
| 会場 | 枠なり率 | レース数 |
|---|---|---|
| 桐生 | 74.0% | 4,044 |
| 浜名湖 | 74.1% | 4,249 |
| 常滑 | 74.5% | 4,366 |
| 唐津 | 74.5% | 3,823 |
| 蒲郡 | 74.6% | 4,175 |
| 三国 | 76.0% | 3,985 |
| 下関 | 77.4% | 3,848 |
| 若松 | 77.9% | 4,134 |
| 住之江 | 79.9% | 4,111 |
| 宮島 | 80.7% | 4,117 |
| 芦屋 | 80.7% | 4,033 |
| 丸亀 | 81.1% | 4,119 |
| 徳山 | 81.2% | 4,171 |
| 戸田 | 81.8% | 4,046 |
| 児島 | 82.0% | 3,948 |
| 津 | 82.8% | 4,012 |
| 福岡 | 83.3% | 3,858 |
| 尼崎 | 83.7% | 4,061 |
| 鳴門 | 84.3% | 3,639 |
| 多摩川 | 84.5% | 4,047 |
| 平和島 | 84.6% | 3,723 |
| 大村 | 86.8% | 4,207 |
| びわこ | 91.2% | 3,918 |
| 江戸川 | 99.9% | 3,643 |
集計期間 2025年1月1日〜2026年9月30日・n=96,277レース(当サイト集計・公式レース結果の進入)。枠なり=6艇とも艇番どおりのコース。スタート展示の隊形ではなく本番の進入で数えた値
予想への落とし込み
①スタート展示で進入隊形を確認する。②前づけが濃厚なら、その選手が実際に入るコースの成績で再評価する。本サイトの艇番入れ替えシミュレーションは、この置き直しを1回の操作でできる機能です。③深くなったインの信頼度は1段階割り引く。この3点だけで、進入波乱のレースへの耐性が大きく変わります。
よくある質問
進入はいつ決まるのですか?
ピットアウトから待機行動の間に決まります。スタート展示でおおよその隊形が分かります。当サイトの集計(2025年1月〜2026年9月・9万4,577レース)では、展示と本番の隊形が完全に一致したのは88.2%で、約8レースに1回は本番で隊形が変わりました。
前づけされた1号艇は不利になりますか?
自艇も深くなる場合は助走距離が短くなり不利です。隊形次第で「イン=有利」の前提自体が崩れるため、展示の隊形確認が重要です。当サイトの集計でも、前づけがあったレースの1コースの1着率は43.6%で、枠なりのレース(56.6%)より低くなっています。
どの選手が前づけするか事前に分かりますか?
進入実績やスタート展示で判断できます。イン屋として知られる選手は限られているため、出走表の段階で警戒をかけておくのが現実的です。
ここまで読めば、最新レースの数字も別の角度から見えてくるはず。
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