最終更新: 2026-10-02|数値は公式公開データの当サイト集計
実STと展示STの「ズレ」は、選手ごとの個性がはっきり出る数字だ。前回は、本番のほうが展示より0.08秒ほど遅いのが普通だと確かめた。今回はその応用編として、ズレが小さい本番強い型と、ズレが大きい練習強い型の見分け方を、2024年1月〜2026年9月の約90万走の集計で掘り下げる。
- 選手ごとに平均すると、本番STは全員が展示STより遅い(1,701人・ズレの中央値+0.08秒)
- 本番強い型=ズレが小さい選手(小さい2割は平均+0.047秒)。展示は遅め(0.113秒)でも本番は速め(0.159秒)
- 練習強い型=ズレが大きい選手(大きい2割は平均+0.117秒)。展示は速い(0.057秒)が本番は遅め(0.174秒)
- ズレの大きさは1年以上続く(前半と後半の相関0.85)。直近3走の流れは次の走に続かない
ズレの基本おさらい
展示STは本走前の予行演習、実STは本走の本番。展示ではフライングしても罰則がなく(本番では安全のための余裕を残して出ると考えられます)、本番のほうが遅いのが普通です。50走以上の1,701人を選手ごとに平均すると、実ST − 展示STは最小でも+0.003秒で全員がプラス、中央値は+0.08秒でした。
ですから「型」は、ズレの向き(プラスかマイナスか)ではなく大きさで見ます。ズレの大きさがいつも同じくらいなら、その選手のスタートの癖として予想に組み込めます。
「本番強い型」の特徴
ズレが小さい選手です。ズレの小さいほうから2割(341人)は、ズレの平均が+0.047秒。展示STの平均は0.113秒と遅めですが、本番STの平均は0.159秒で、5つのグループの中でいちばん速い。展示で0秒ぎりぎりを狙いすぎず、本番に近いタイミングで出るタイプです。
数値を表で見る
| ズレ | 展示 | 本番 | ズレの |
|---|---|---|---|
| 最も | 0.113 | 0.159 | +0.047 |
| 小さい | 0.095 | 0.163 | +0.068 |
| 中くらい | 0.085 | 0.166 | +0.081 |
| 大きい | 0.075 | 0.168 | +0.094 |
| 最も | 0.057 | 0.174 | +0.117 |
| ズレ | 人数 | A1級の |
|---|---|---|
| 最も | 341 | 18.2% |
| 小さい | 340 | 18.8% |
| 中くらい | 340 | 21.5% |
| 大きい | 340 | 20.6% |
| 最も | 340 | 19.1% |
集計期間 2024年1月1日〜2026年9月30日・n=1,701人(当サイト集計(公式の出走表・直前情報・結果))。50走以上の選手を、ズレの小さい順に約340人ずつ5つに分けた。単位は秒。本番のほうが展示より速いグループは無い
「経験豊富なA1ベテランに多い」と言われることがありますが、集計では当てはまりません。A1級の割合はどのグループでも18〜21%で、級別ごとのズレの平均もA1・A2・B1で+0.082〜+0.083秒とほぼ同じ。50歳以上はむしろズレがやや大きめです(+0.086秒。29歳以下は+0.076秒)。
予想への活用:展示STが遅めでも、それだけで「本番も遅い」とは読まない。実STの推移で本番の速さを確かめるべき選手です。
「練習強い型」の特徴
ズレが大きい選手です。ズレの大きいほうから2割(340人)は、ズレの平均が+0.117秒。展示STの平均は0.057秒と速い一方、本番STの平均は0.174秒で5つのグループの中でいちばん遅い。展示では0秒ぎりぎりまで攻め、本番では大きく余裕を残すタイプです。
予想への活用:展示STだけ見て「速いから本番も速い」と判断するのは危険。実STの推移で、本番でのスタートを確かめるべき選手です。
型は1年たっても変わらない
2024年1月〜2025年4月(前半)と2025年5月〜2026年9月(後半)に分けて、両方で30走以上ある1,559人のズレを比べました。前半と後半の相関は0.85。前半にズレが最も小さかった2割は、後半もズレの平均が+0.050秒(前半+0.049秒)で、70%が後半も最も小さい2割に残りました(最も大きかった2割は72%が残留)。ズレの大きさは、一時の調子ではなく選手の個性です。
数値を表で見る
| 前半の | 前半 | 後半 | 人数 |
|---|---|---|---|
| 最も | +0.049 | +0.050 | 312 |
| 小さい | +0.071 | +0.067 | 312 |
| 中くらい | +0.085 | +0.079 | 311 |
| 大きい | +0.098 | +0.090 | 312 |
| 最も | +0.122 | +0.109 | 312 |
集計期間 2024年1月1日〜2026年9月30日・n=1,559人(当サイト集計(公式の出走表・直前情報・結果))。前半・後半それぞれ30走以上の選手。グループは前半のズレの小さい順に約310人ずつ。単位は秒
グラフで見抜くコツ
本サイトの選手プロフィールページには実STの推移グラフ(直近6走〜200走)があります。
型は長めの期間で見る:直近の数走で測ったズレと、その選手の長い期間のズレとの相関は、6走で0.39、20走で0.58。6走だけでは型を見誤りやすく、20走以上で見るのが目安です。
直近3走の流れは続かない:実STが3走続けて速くなった(1走目から3走目まで0.04秒以上)あとの次の走は、平均するとその選手のいつもの水準(その前の20走の平均)に戻り、前の走より速かったのは21%だけでした。3走続けて遅くなったあとも同じで、次の走はいつもの水準に戻ります(前の走より速かったのは76%)。「0.18→0.15→0.12と右肩下がりだから次も速い」とは読めません。
数値を表で見る
| 走 | 速く | 遅く |
|---|---|---|
| 3走前 | +0.063 | −0.057 |
| 2走前 | −0.002 | −0.002 |
| 前走 | −0.058 | +0.064 |
| 次の走 | −0.001 | +0.001 |
| 次の走が | 21% | 76% |
| 件数 | 119,455 | 119,255 |
集計期間 2024年1月1日〜2026年9月30日・n=238,710件(当サイト集計(公式の出走表・直前情報・結果))。1走目から3走目までの差が0.04秒以上の場合。「いつも」はその前の20走の実STの平均で、値はそこからの差(秒・プラスが遅い)
本サイトの活用法
レース詳細ページの選手の実ST・展示ST重ね表示では、6走分の両ラインが見られます。
両線の差(ズレ)が、その選手のいつもの幅に収まっているかをチェック。ただし本番STそのものは、展示STから足し算するより直近の実STの平均のほうがよく当たります。2025年1月以降の578,909走で、本番STを「直近30走の実STの平均」で見立てると誤差は平均0.053秒、「展示ST+その選手のいつものズレ」では0.096秒と、ほぼ2倍でした。2つを半々に混ぜても0.067秒で、実STだけのほうが当たります。
数値を表で見る
| 見立て方 | 誤差の |
|---|---|
| 直近30走の実ST | 0.053秒 |
| 両方を半々 | 0.067秒 |
| 展示ST+自分のズレ | 0.096秒 |
| 展示ST+平均のズレ | 0.097秒 |
集計期間 2025年1月1日〜2026年9月30日・n=578,909走(当サイト集計(公式の出走表・直前情報・結果))。見立てはその走より前の30走(10走以上ある選手)だけで作った。「平均のズレ」は2024年の中央値+0.09秒、「両方を半々」は実STの平均と「展示ST+自分のズレ」を半分ずつ
ズレのぶれ幅(1走ごとの散らばり)も選手ごとの個性で、前半と後半の相関は0.81。ぶれ幅が大きい選手はこちらが読めない選手なので、STを予想の根拠にする重みを下げます。
よくある質問
「本番強い型」と「練習強い型」、どっちが本命に向く?
STの面で信頼しやすいのは本番強い型です。ズレが小さい2割の選手は本番STの平均が0.159秒、ズレが大きい2割は0.174秒でした。ただし差は0.015秒ほどで、型だけで決めるより、その選手の直近の実STとコース別の傾向を合わせて見るのがおすすめです。
ズレが0.05以下の選手は?
50走以上の1,701人のうち172人(約1割)です。展示と本番の差が小さい、本番強い型に寄った選手ですが、1走ごとのぶれ幅は他の選手と変わりません(ぶれの中央値0.126秒、ほかの選手は0.123秒)。「読みやすい」と決めつけず、実STの推移で確かめてください。
展示は遅いのに本番は速い選手はいますか?
平均で見る限りいません。1,701人全員、本番STのほうが展示STより遅くなっています。1走ごとなら22%の走で本番のほうが速くなりますが、その多くは展示が遅すぎた走で(展示STが0.20以上の走の85%は本番のほうが速い)、本番STはその選手のいつもの水準に戻っただけです。
ここまで読めば、最新レースの数字も別の角度から見えてくるはず。
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